慶応→法政
去年からなぜか縁がある慶応大学にまた講義しに行かせていただきました。
毎回、大学に行ってなくてちゃんと就職もしたことがない「フリーディレクター」というほぼ無職と紙一重のオレの話なんか前途有望な若者たちの役に立つのだろうか、と思っちゃう。
思っちゃうけど、いろんなケースを見れた方が彼らにとっても良いから、まぁアリなんだろう。
「就職なんかしなくてもなんとかなる」とか「映画観て本読んでれば大抵のことは大丈夫」とかまったく無責任なことばっか偉そうに語ってしまった。
あとは各自で判断していただきたい。
自分が20歳くらいのときを思い浮かべて話したりするんだけど、ロクでもない記憶が蘇る。
もう15年も前なんだ、と気づいて今さらビックリする。
あんま意識変わってねーのになぁ。
で、来週は法政大学で上映イベントやリます。
先日の日記でも告知しましたが。
無料です。
良かったら是非!
↓
houseiB5.pdf
9.11以後の世界×障害者の性
「ドキュメンタリー映画とは何か?−佐々木誠監督作品映画上映」
日時 6月19日(土)14時スタート
場所 法政大学市ヶ谷キャンパス外濠校舎6階「薩埵ホール」
入場無料
http://www.hosei.ac.jp/hosei/campus/annai/ichigaya/campusmap.html
http://www.hosei.ac.jp/hosei/campus/annai/ichigaya/access.html
プログラム
1映画「Fragment」(93分/06年)
2休憩(15分)
3映画「マイノリティとセックスに関する2、3の事例」(24分/07年)
4トークイベント「佐々木誠×森村修(法政大学教授)」(約一時間)
5懇親会
お問い合わせ
法政大学 森村研究室 03-3264-4791
『Fragment』
http://www.fragment-movie.com/
『マイノリティとセックスに関する2、3の事例』
http://over8.com/modules/tinyd01/index.php?id=6
ホテトル、ヤクザ、トキ
試写3本観に行った。
「ガールフレンド・エクスペリエンス」
http://www.tfc-movie.net/girlfriend/
初期の実験的な作品を彷彿とさせるソダーバーグ最新作。
アメリカNo1ポルノ女優主演。
NYの高級ホテトル嬢(?)の日常の断片コラージュ。
その生き方を通して不透明な現代を切り取る、っていう感じ。
フィクションとほんの少しのノンフィクション。
こういうの好き。
ウィンターボトムの「ナイン・ソングス」にちょっと近い、と思った。
「アウトレイジ」
http://office-kitano.co.jp/outrage/main.html
北野武最新作。
いや、ぶっちゃけ面白かった。
予告編観てまったく期待していなかっただけに。
前作の「アキレスと亀」はまだ観てなくてそれ以外はほとんど劇場で観ている。
僕はここ最近の「TAKESHIS`」も「監督・ばんざい」もかなり好きだったけど、一般的な評価・興行的には低かった。
というところでみんなが観たい(であろう)北野映画復活。
たけしの「こういうのが観たいんだろう、だから作ってやったよ」みたいな声が聞こえてきそう。
「ソナチネ」や「3-4X10月」のヤクザの世界観ともまた半歩違う、たけしの極道映画。
単純に(女子供を無視した)エンタテイメント映画です!!
「朱鷺島−創作能「トキ」の誕生」
http://www.tokijima.com/
監督の三宅流さんとは15年以上の付き合いだけど、数年前までそんなに親しくなかった。
元々、「映画」を否定した実験映像作品(かなりヤバくて面白い!そのほとんどが国内外で大きな評価をされている)を発表し続けていた三宅さんと、ハリウッド映画大好きで商業でしか映像を制作していなかった僕とでは重なるところがあまりなかった。
それが何の因果か数年前にお互いドキュメントという分野に行きつき重なった。
三宅さんの前作「面打/men-uchi」が異常に面白かった。
それまでの彼の実験映画を知っているだけに、その作風の変化もそうなんだけど、単純に自分が観たかった類いのドキュメント映画だったから驚いた。
若い面打師がひとつの能面を完成させ、それが舞によって命が吹き込まれるまでのドキュメント。
ほぼ能面を削っているだけの画が延々続く。
それがなんと全く飽きることなく面白いのだ!
ワンカットワンカット撮影も繋ぎも気合いが入ってるのが観てわかるし、息づかいまで聞こえてきそうな緊迫感だった。
これはイカした「記録映画」だなぁと思った。
今回、「朱鷺島」の試写を観る前に三宅さんから「『Fragment』と通じるところがあるかもしれません」と言われた。
観ていてなるほど、と何度か思った。
題材へのアプローチもそうだが、誤解を怖れず言うと、ああ、オレだったらこうやって撮るなとかこうやって繋ぐな、と思うところが4割くらい一緒だった(映像素材観てないから何とも言えないけど)。
あと、よく「被写体との距離が絶妙だ」というようなことを僕の映画を観た人に言われるんだけど、今回この作品を観てその意味が分かった。
結局ドキュメントは被写体と撮影者の距離感を映し出しているだけでしかないとすら思ってしまう。
観終わってやっぱり面白かったな〜と唸った。
題材についてしつこく食らいつくがそこまでガツガツしていなくて、わりと俯瞰な位置で捉えている。
「面打」もそうだが、ひとつの伝統文化を題材にして、その伝統から紡ぎ出され新しく生まれてくるモノがカタチになって行く様を余計なものを全て削ぎおとして記録していく。
その手法は、元々その文化が好きな人にもたまらないけど、まったく知らない人も飽きずに新しい世界へと誘う。
それは観ていてとても気持ちがいい体験だと思う。
伝統文化はその後も延々と続いて行く。
だから新しいモノが生まれる瞬間は美しい。
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