構築日記 blog

トミー・トランティーノの思い出

genre
映画全般
date
10.07.31. 04:38

映画『デルタ』のトークイベントに8月8日(日)ゲスト出演する予定なんだけど、他の日の出演者に偶然、舞台演出家の平松れい子さんがいた。
懐かしい名前だった。
http://www.delta-movie.com/html/theater.html

いろいろ思い出して一気に書いたらすげー長くなった(twitter時代に逆行している!)


平松さんとは7年前に一緒にアメリカを旅した。
ほぼ初対面のままニューヨークで合流し、フィラデルフィア〜ニュージャージーへ。
まだどの地域も雪が積もる2月頃だった。

彼女が監督・出演する『JOURNEY to LOCK THE LOCK』という画家で詩人のトミー・トランティーノについてのドキュメンタリー。
そのカメラマンが僕の仕事だった。
自分が演出しない作品の撮影はこの時はじめてで、面白そうだったから話が来てすぐに引き受けた。
スタッフは僕ら2人だけで、平松さんは出演もしているし映像作品は初めてということで僕の意見を尊重しほとんど任せてくれた。

トミーは殺人罪で約40年刑務所に入っていて、恩赦で出て来た元死刑囚だ。
入ってる間に絵を描き始め、その作品集に彼自身の詩を付けた書籍「 LOCK THE LOCK」が話題を呼び、日本でもアート界の一部で知られるようになった。
たまたま手にした「 LOCK THE LOCK」に感動した平松さんはわざわざアメリカの刑務所に出向きトミーと面会するなど交流を始める。
数年後トミーは出所しニュージャージーに住んだ。

LOCK-THE-LOCK.jpg


出所後はじめてトミーに会いに平松さんが行く、それをドキュメンタリー作品にする、というのがその企画だった。

トミーはすでに60歳を超えていたが、刑務所に40年入っていたためまだ感覚はシャバにいた頃の少年時代で止まっているように僕には見えた。
わざわざ日本から自分に会いにやって来た若く美しい女性演出家の平松さんにトミーは(まさに)少年のようにはしゃいだ。
身長190センチの大男のトミーがはしゃぐとすごい迫力だった。

僕らはトミーの家で数日間一緒に過ごした。
トミーと平松さんは話すことが山のようにあり、僕はその様子も含め、撮るものがいくらでもあった。
トミーの膨大な作品は見ていても撮っていてもまったく飽きなかった。

tommy-2.jpg

全員ほとんど初対面のようなものだったが、僕らは気が合い疑似家族的な数日間だった。
トミーの住んでいた地域はかなり治安が悪くまるで「8マイル」みたいだった。
まだ若かった僕にはそのシュチュエーションは刺激的で、夜になるとわざわざ一人で危なそうな場所に汚い格好して出歩いたりした。
そういう場所からこっそり帰って来たところをトミーに見つかりマジで怒られた。
「悪いヤツに撃たれて殺されるかもしれないんだぞ!」
と殺人罪で服役していた元死刑囚に言われた。

最後の晩、3人だけでちょっとしたパーティをした。
僕はしこたま飲んでしまい酔っぱらってリビングのソファでいつのまにか寝てしまった。
なので2人が最後にどんな会話したのかは知らない。
真夜中に起きたら、つけっぱなしの砂嵐のテレビの光だけの薄暗い中、肩を震わせて泣くトミーの後ろ姿が見えた。
その光景があまりに「映画」だったのでこっそりカメラを出して撮影しようと思ったけどやめた。
1時間くらいそのままにしていた。
ほんの少し日が射して来た頃に僕は起きたふりをして、トミーに声をかけた。
雪の中一緒にベーグルを買いに行った。
わざわざ歩いて行ったわりにベーグルは不味かった。

別れ際、トミーから額に入った彼の絵をもらった。
「お礼に今度、東京遊びに来たらいろいろ連れて行くよ!」
と言ったら少し悲しそうな笑みを浮かべ、
「You are My No1 Son」と言ってハグしてくれた。

帰りの飛行機で平松さんから、恩赦で刑務所出たから法律でトミーはニュージャージーから外には一生出られないということを聞いた。
俺はホント無知で無責任なこと言うなぁと後悔した。




帰国後、平松さんとは何度も話し合い彼女の意図を十分理解しながら撮影していたのでまず僕に編集を任す、ということになった。
当時、僕は『Fragment』を撮影中で(『JOURNEY to LOCK THE LOCK』撮影の1ヶ月後、僕はグラウンドゼロのご祈祷シーンの為に再びNYへ行った)自分なりのドキュメントスタイルを何となく構築しつつあり、「JOURNEY to LOCK THE LOCK」は現場で感覚的に導かれ撮影しながら編集を想定していたので、その方向で組み上げて行った。
なかなかエッジが効いた作品ができたと思う。

が、そのできたものはプロデューサーや企画者の方たちが当初この題材で考えていた作品とはまるで違った。
というか、そんな方向を当初に想定していたことは全然知らなかった。
多くの人がひとつの作品に関わるとそれぞれの考えが錯綜してちゃんと伝わらないことが多々ある。
監督の平松さんも交えいろいろ話したが、結局その方向で行くことに。
当然だ。
この作品で僕は監督でもなければ企画立案者でもなく元々はただ依頼されて撮影しただけの立場なのだ。
というわけでその作品から僕は完全に離れ、他の人たちで最初から編集をし直し、最終的に僕が編集したものとはまったく違う作品が完成した。
同じ素材を使っても編集のイニシアチブを取る人によってまったく違う作品ができるということを学んだのはこの体験からだった。
自分がこうしようと思って撮ったカットが真逆の意味で使われているのを観るのは不思議な感じだったが、同時になるほど〜とも思った。
そういう意味で映画、映像ってほんと面白い。

僕が編集した最初のバージョンはそのまま上書き編集してしまった為に残っていない。
その時はあまり思わなかったけど、今考えれば残しておけば良かったな。

完成した「JOURNEY to LOCK THE LOCK」はネットで配信されたあと、今はなき下北の映画館で上映され、その後何度かアートスペースなどでも上映したようだ。
久々に観たくなった。

トミーにもらった絵はまだうちに飾ってある。

tommy_photo.jpg

トミー・トランティーノ インタビュー
http://www.moment.gr.jp/3/special.html

ラーメン大好き!!

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雑記
date
10.07.28. 14:26

映像屋→ラーメンライター→ラーメン屋になった友人シンキ君が関わってる新しいラーメン屋の試食会に行ってきました。

府中「麺創研かなで」
http://www.mensoken.jp/index.html

僕ら以外ほとんどラーメン関係者(?)という独特の雰囲気。
一緒に行ったバン君はCGデザイナーなんだけど、恰幅が良いので隣のラーメンライターと思われる人に
「ラーナビ(ラーメンナビ?)の方ですか?」
と聞かれていた。

まず1号店「かなで」であっさり魚介系しょうゆラーメンをいただく。

IMG_0306.JPG

う、美味い!!
かなり好み!!
あっという間に食ってしまった。
さらにつまみのチャーシューメンマと生ビールまで出していただきもうすでに満足。

が、今回の目玉は向かいにできた姉妹店「紅 -KURENAI-」だ。
真っ赤な辛みそ紅ラーメンをいただく。

IMG_0307.JPG

な、なんだこれ!
すげー美味い!!
極太乱切り手もみ麺の食感が最高。
モチモチしていてさらにほんのり甘みも感じる。
で、それが辛みそスープに超絡み合う。
豚肉のトッピングたまんなかった!

ラーメン好きは一度お試しあれ!

それにしても満足しすぎ。
基本的にラーメン大好きで、前の日も渋谷「一蘭」で替え玉したくらいなんだけど、さすがにお腹パンパン。
もうしばらくはラーメン良いや、と思ったけど今すでに食べたい。

帯谷有理、デルタ、トキ

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映画全般
date
10.07.24. 21:56

先日、映画『デルタ』の先行イベントで帯谷有理さんの「サイケデリック・オルガン・パンダ」を観に行った。

「好きな映画監督は誰?」
と先輩に聞かれて、ウォルター・ヒルと答えるくらいハリウッドオンリーだった18歳の僕は、その先輩にまったく知らないヤバい映画がたくさんあることを3年かけて叩き込まれ、その後の人生をが大きく変わるくらいの影響を受けた。
そのうちの2本が帯谷さんが監督した「毛髪歌劇」と「手で触れることのできる窮屈」(略して「手でQ」)だ。
とにかくぶっ飛んだ。
ハリウッド映画とはまったく対極な作品なんだけど、僕の中では最高のエンターテイメント。
「スターウォーズ」と同時に「毛髪歌劇」も語れちゃう。
今どこで観れるかわからないけど、インディーズ映画好きな人は上映機会があれば是非チェックした方が良い思う。

「サイケデリック・オルガン・パンダ」は8年前に完成しているが、なぜか東京では上映していなかった。
撮影は(『デルタ』で監督している)与那覇くんで、出演者のクロードも昔から知ってる友達なんだが、正直、帯谷作品に参加していて羨ましなぁと思っていた。
いやーすげー面白かった。
まったく飽きないし、8年前の作品とは思えない鮮度がある映画だった。
こちらも次いつどこでやるかはまったくわからないけど、機会があれば是非観ていただきたい。
ものすごく計算されている普遍的なキ○ガイ映画です。



というわけで『デルタ』!
ついに今日からアップリンクにて公開しています!!
http://www.delta-movie.com/index.html

これもヤバい映画です。
僕の感想はこちらで。
http://blog.fragment-movie.com/article/35831176.html

あと8月8日(日)の20時50分の回上映終了後トークゲストで出ます。
詳細はまた。



もう一本。
三宅流監督「朱鷺島−創作能「トキ」の誕生」 も7月31日(土)よりポレポレ東中野にて公開します!
http://www.tokijima.com/

こちらも感想書いた以前のブログ。
http://blog.fragment-movie.com/article/38889980.html


古い友人たちの映画が続々公開。
めでたい!!

ハリウッドスターに会った

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映画全般
date
10.07.19. 00:19

いつもお世話になってるJETLINKさんに誘われ「グッドフェローズ・パーティー」に行って来た。

ハリウッドスターがシークレットゲストで来ると聞いてたので、楽しみにしていた。

























IMG_0290.JPG


まさかのデニーロ!!

IMG_0289.JPG


いやー感動しました。


パーティ詳細はJETLINKワタナベさんの日記で!
http://jetlink.livedoor.biz/archives/52162205.html

昨日「毛皮のマリーズ」のライブに行った

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雑記
date
10.07.13. 01:44

毛皮のマリーズ

1ヶ月前から楽しみにしていたが、直前にやっていた仕事の撮影が押して30分遅れでリキッドルーム到着。

ツアー最終日のライブ。
いやーすげー良かった!!!
このバンドはもっと凄くなる!!
と、実感。
そういうライブはあんまりない。

いやー遅れたけど観れてほんと良かった!!!

ボニーとクライドは今夜も夢中」は思ったより早く演奏していたらしく間に合わなかったのが残念。
それにしてもヴォーカルの志摩さんのMCは熱く、そして響いた。

終了後、メンバーにずうずうしく挨拶させていただいた。
128359939.jpg

いやー素敵な好青年たち。
もう、普通にミーハーなファンです!
(ちなみにド真ん中にいるのはメンバーではなく一緒に行ったイラストレイターのサイトウユウスケさん。念のため)

とにかく興奮して、ワールカップ決勝まで見逃しちまった!

ベンダ・ビリリ

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映画全般
date
10.07.01. 04:13

先月観た「ソウル・パワー」に続き、ブラックミュージックなドキュメント「ベンダ・ビリリ!」の試写に行った。
http://bendabilili.jp/movie.html

すげー面白かった。

アフリカの路上生活者で身体障害者たちのバンド「ベンダ・ビリリ」。
彼らがヨーロッパツアーに行くまでの5年間のドキュメント。

いや、卵が先か鶏が先か、な話に近いですが、監督がこの映画を撮らなかったらヨーロッパツアーはなかったし、途中から物語の中心になる「空き缶(!)をくり抜いて自分で作った一弦(!)ギターを使う天才少年ロジェ」もこのバンドに参加しなかった、という事実。
つまり原一男が「ゆきゆきて、神軍」を撮らなかったら、奥崎謙三は発砲して刑務所に入らなかった、のに近い。
ドキュメントってホント良い意味でも悪い意味でも人の人生変えちゃうから面白く、そして恐い。

13歳のロジェが行方不明になり、1年後再び姿を現すシーンが最高。
今年観た映画の中で一番印象に残った瞬間かもしれない。

映画の予告まだないみたいなんでこれ

ちなみに「ソウル・パワー」も最高です。

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