断片としての「達磨」
禅宗の開祖とされている達磨。
その人生のほんの一瞬を切り取った美しい短編小説「達磨/dharma 」。
「一瞬は永遠」なんてことをよく耳にするが、この小説を読んでそんなことを考えた。
ある人生のある一瞬は全てを象徴し永遠に残る。
各ページの短い文章、挿絵(というにはあまりに象徴的な美しい記号)、英訳文がひとつに相まって、旋律を奏でるような感覚を覚える。
大人の童話、というよりインテリ過ぎずポップでもない繊細なアートブック。
ちなみにサンスクリット語で「法」はdharma
(「LOST」に出てくる例の会社の謎もなんとなくわかってきたような)。
「Fragment」は観ていない人には「僧侶のドキュメンタリー」と思われがちで僕がその分野に詳しいとか元々興味があったとか聞かれたりするんだけど、まぁそれはちょっと違っていて。
自分としては「9.11」の断片を撮ろうと思った時に、等身大の若者を軸に捉えたかった。そういう意味で井上実直は「等身大」だった(そして彼はたまたま僧侶だった)。
しかし戦争の背景に宗教が存在するというのが頭にあったのは事実なわけなんだけど(そしてそれはうっすら描いている)。
実際撮影を始めると仏教はとても奥深くて、個人的にいろいろ調べたりした(しかしそこで学んだことはほとんど描いていない)。
自分の実家の墓がどこの宗派のお寺にあるかも知らなかったけど、いろいろ知ると面白くて、そこの過程でもちろん達磨も出てきたので、そういう意味でも今回の「達磨/dharma 」は興味深かった。
歴史上伝説的な達磨のほんの一瞬の「断片」を描いていたし。
そしてその一瞬は永遠なのだ。
というわけでご興味ある方は是非。
http://www.web-japan.to/book/review_daruma.htm
- 『達磨』
- 09.05.21. 03:19
- ◆Here is the most beautiful story of Dharma.◆本体価格:1,200円+税 B5判/48頁 ..
- 村松恒平 文章学校
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