構築日記 blog

偶然

genre
Fragment
date
14.04.11. 19:30

よく偶然に人とばったり会ったりするんだけど、ここ数日また立て続けにそういうことがあった。
10年くらい前に、「偶然」をテーマにしたポール・オースターのエッセイ『トゥルー・ストーリーズ』読んだのでなんとなくブログに書いた当時の文章を思い出したんで貼ります。
世界は偶然でできている!w

※文章に出てくる「お坊さんのドキュメンタリー映画」は後に『Fragment』というタイトルで公開しました。



2年前、2002年2月。
ニュージャージーに住む殺人罪で45年間刑務所に入っていた画家トミー・トランティーノのドキュメンタリー撮影の為、NYに向かう飛行機に単身乗っていた。もうひとりのスタッフとはマンハッタンで待ち合わせしている。

JFK空港に降り立ち、目的地までのバスを探していると「すみません、日本人ですよね」と声をかけられた。
日本人の女子大生で「NY初めてなんでどうやって行くかよくわからなくて」と言われて、まだ時間に余裕があったので彼女の目的地まで向かうバスの停留所を一緒に探した。
彼女は、僕が子供っぽいからか同じ大学生だと思っていたらしく、歳を言ったら驚かれ、来た理由を聞かれたので撮影の仕事だと教えた。
それでも「ホントに社会人?」と疑うので、別れ際に当時やっていた仕事のチラシをいくつか持っていたのであげて、僕は別のバスに乗ってマンハッタンに向かった。
彼女が何日滞在するかも聞かなかったし、僕は自分の連絡先もいつ日本に帰るかも別に言わなかった。

1週間後、フィラディルフィア、ニュージャージーとNYで撮影を終えて、再びJFK空港。
帰りの便に乗り込みシートベルトを締める。ふと前の座席の隙間から見覚えのあるチラシが。
席を立って前の席を覗くと、前に座っている女性もこっちを向いた。
僕のあげたチラシを持ったあの女子大生がそこにいた。

2ヶ月後。
今度は、個人的に撮っているお坊さんのドキュメンタリー映画(現在編集中)の撮影のため再びNYへ。
イラク戦争が始まったばかりな上、4月なのに大雪という異常な雰囲気の中撮影は終了。

雪のため、観に行く予定だったヤンキースの試合(ヤンキースタジアム松井秀喜デビュー戦)は中止になってしまう。
2日後、野球観戦を完全に諦め、ひとりソーホーで買い物をしていた。
靴屋に入って物色していると、イタリア系のでかい店長らしき人物が近づいてきて、
「お前、日本人か?」と聞いてきた。
「そうだけど」
「(ニカッと笑い)昨日のヒデキ・マツイ見たか?」
「え、昨日。野球やってたの?」
「雪やんだから繰り越しでやったんだよ!それでグランドスラムだよ!!マツイが!!」
「満塁ホームラン!?ゴジラ!?」
「イエス!ゴジラ!!」
「え〜マジで!!知らなかった!!見逃した〜!!」
そう、あの伝説のヤンキースタジアムデビュー戦、戦慄のグランドスラムを果たした松井秀喜の勇姿を同じNYにいながら僕は見逃していたのだ!!
まぁ、その靴屋のオヤジにスニーカー代を少しオマケしてもらったからラッキーではあった。

その後すぐに、その夜の試合を観るためにヤンキースタジアムへ向かう。
到着して、チケットを買うため売り場に並ぶ。雪がやんだとはいえかなり寒い。
前に並んでいるのは僕よりちょっと年上風な日本人の女性で、なんとなく「寒いですね〜」なんて声を掛け合ううちに、お互いの松井と野球についての熱い思いを語り合う。
やっと中に入るが、彼女とは全然席が違うので、そこで「じゃあ、お互い良い時間を!」と別れる。彼女の名前も、職業も、NY在住かどうかも聞かなかった。

その日の松井は全然冴えなくて、まったく打つ方では活躍しなかったが、野球ファンとしてはこの場所にヤンキースの一員として立っている彼を観るだけで感動してしまった(まぁ今となっては当たり前なんだろうけど、当時はまだ定着していなかった)。なにしろバーニー・ウィリアムスと普通にキャッチボールしてんだぜ!すげぇなぁ松井、と大満足の一夜だった。

2日後、ひとり帰国するため飛行機に乗り込む。
戦争の影響か座席はガラガラ、どこに座ってもOKなくらいだ。
自分の座席番号を確認する。ガラガラだがどうやら隣はもう座っている。
「すみません」と言って前を通り自分の席に座ろうとして、そのお隣さんと目があった。
同時に「あっ!」と言った。
その人は、ヤンキースタジアムに一緒に入ったあの日本人の女性だった。

これは、まったくの「真実の話」で、単なるちょっとした「偶然でしょ」ですむ話です。

「2ヶ月間」に「2回連続」、「NY」にて、「帰りの飛行機」の「隣の(前の)座席」で、「別の場所で出会った」、「知り合いではない女性」と、「再び会う」のは多分かなり低い確率でしょう。

しかし、普段の人と人の出会いを考えるとみんなこんな確率になるんじゃないかなぁ、と思います。あたりまえにいる友人や恋人、家族なんかものすごい数の「偶然」の積み重ねによって現存しているんですから。
こういった「偶然」に翻弄されて我々は生きているワケです。
よくよく考えたら生まれてくること自体「偶然の産物」みたいなもんですし(なんだかインチキ教祖っぽくなってきました!笑)。

こういう出会い方をすると、なにか意味があるんじゃないか、と思ってしまいがちですが、この時出会った2人の女性は、2年経ちますが、今のところ僕の人生において重要な意味はなさそうですし、彼女たちの人生にも僕の存在はたいした意味はないと思います。
小説や映画なら簡単に恋に落ちそうな感じですが、現実はそんなことなかったです。

しかし、思い返すとなんだか不思議な体験ではあります。
こういう体験をする度にどーゆう仕組みになってんのかなぁとは思ったりします。

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